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2009年 01月 24日
イラク近況と県議会選挙に関して
イラク近況 我々のローカルスタッフによればバグダード内での治安は大幅に改善し、爆破や誘拐などはその数が大きく減少しているという。アメリカによる報告では2008年度の暴力発生件数は前年度に比べて64%減少(2004年以降最も低い数値)したと報告されている。またボディカウントによれば、2006年には1日あたり76件の殺害件数が確認されていたが、2008年には25件にまで減少したとしている。しかし その一方、モスルなどではアメリカ軍に対する攻撃は依然として続き、また16日ディヤーラのバークーバでは、当局の指示により外出禁止令がだされているなど治安面はまだ落ち着いたとは言えないのが現状である。さらにヒューマンライツウォッチによれば、依然としてイラク人の人権は阻害されたままであると報告されている。特に、アメリカ軍やイラク軍による軍事作戦や宗派対立によって家を失った難民、また不当逮捕で拘留されているイラク人また彼らに対する拷問などによって彼らは抑圧され続けているとの報告がなされている。さらに党派に拠る政治は依然としてイラクの安定を脅かす大きな懸念であるとしている。 地方議会選挙 今月31日に実施される県議会選挙は今後のイラクを大きく左右するものとして、その動向を注意して見守らなければならない。選挙ではイラクの14の県、14300人の候補者が440議席を争うことになるが、クルド地区3県(アルビル県、ドホーク県、スレイマニヤ県は今回の選挙からははずされており、またイラクの北部地区のカルクーク(タミーム県)も今回の選挙からは対象外となっている。)選挙者は約1478000人が6500箇所に設けられた投票所に赴いて投票を行う。競争率がもっとも高いのはバグダードであり2482人103政党に属する候補者が57議席を争う。また最も候補者が少ない県は二ナワー県で445名が37議席を争うことになる。 地方議会の役割 2008年に発せられた、地方議会法によれば、「各議会はそこにおいて議長とその代理2名を選出する選挙権とまたその罷免権を有する。また議会は各行政部と年間の予算を各年度の各計画に同意した上で、指導、実施する権利を有する。また各県議会は各県に置かれている、治安担当部からの計画に対する承認権を有する。また連邦制度に関するものとして、議会は各議会構成員数の3分の一以上の同意があれば、これを形成することができ、もしくは各県からの分離、及び合併も同様であるとする。」となっている。特に連邦制の形成権は今後のイラク情勢において重要な問題となる 主要な政治勢力 近況の報告によれば、今回の選挙でも各政党の同盟関係は単純にシーア派、スンナ派という単純な構図に拠らない。2005年に実施された国民議会選挙で、そこでサドル潮流(サドル派)が声明を出したようには次回地方議会選挙では独立した候補者を支援することを通じ参加するとし、シーア派勢力が一枚岩ではなく多数の派閥によって選挙を戦うことになる。 イラク首相ヌーリー・マーリキー率いるイスラーム・ダアワ党は13県において7つの政治政党による同盟「法治国家連盟」で選挙に臨む体制である。アブゥドゥル・アジーズ・ハキーム率いる高等イスラーム評議会はシーア政党5団体(ヒズブッラー、バドル、聖殉教団など)による聖殉教(ミフラーブ・シャヒード)同盟を今回の選挙にあたり形成している。また主要な勢力の一つファディーラ党は「権力は西からでも、東からでもない」というスローガンを掲げ、独立リストによって選挙を戦う方針を挙げている。 一方、スンナ派の政治勢力に関しては、大多数がスンナ派で占められているアンバールでは、政治勢力を一本化し選挙に臨む構えである。アンバール救済議会、イラク覚醒議会、イラク部族議会による連合形成をとり、そこにいくつかの政治勢力が議席を争う形となる。またヒズブルイスラーミーは連合形成を行わないとしている。 予想されうる展開 選挙の焦点はイラク中部及び、南部のシーア派が占める9県に集中するとみられる。特にマーリキー率いるイスラーム・ダアワ党とハキーム率いる高等イスラーム評議会の勢力均衡に注目が集まるだろう。この2大勢力はイラクの南部でそれぞれの勢力拡大のための活動を行っており。ハキームは南部において投資や政治的リクルート活動を2年前から精力的に行っている。一方で2008年4月以降、マーリキーは市民の間で強い政治家であるというイメージを勝ち取ることに成功し、部族支援議会(マジュリス・アスナード・アシャーイル)を組織、また南部各地に政治拠点を設置し村落単位での支持を上昇させている。 また求心力を失いつつあるとみられるサドル潮流(サドル派)の票はファディーラ党やその他のイスラーム政党、もしくは部族政党などに流れることが予想される。そのため南部における議席はイスラーム 高等評議会とイスラーム・ダアワ党によって2等分されるのではないかというのが大方の予想である。 バグダード及び北部地区では、デヤーラにおいてはアラブ・スンナ派系の勢力もしくは覚醒議会系の勢力が票を獲得し、結果は広汎なものになるのではないか。サラーフディーンとアンバールにおいてはいくつかのアラブ・スンナ派勢力が形成されることになるとみられる。 ニーナワーにおいては投票結果の偽造など選挙の公平な実施が行われないだろう、もしくはクルド勢力側が選挙を利用するのではという理由から選挙に対する不信感が強く残っている、 全体としては南部において、マーリキーとハキームが票を争い、北部においては、増加する非宗教政党支持者、もしくはアラブ・スンナ派の勢力の支持者などによって票が分配されるのではないか。 選挙に関するその他 ・1月16日、イラク女性子供委員会は、地方議会選挙の実施法が女性候補者の権利を十分に保障していないとして、選挙法の改正を求めた。この改正法案において女性候補者が各議会の4分の1議席の保障を求めている。 ・選挙安全対策委員会委員長イーダン・ハーリドは各投票所の安全確保のための準備が完了したことを報告。またマーリキー首相も選挙実施の安全を乱す者には厳しい罰が待っているとして改めて、選挙実施の安全確保を強調した。しかし16日イラクリストの候補者フセイン・シャタブが何者かが放った手榴弾による暗殺未遂に遭遇。候補者、投票者ともに安全な選挙実施ができるかどうかについては依然として疑問が残っている。 ・イラクテレビ局Al-Somaliaが実施しているアンケート「選挙に参加するか?」では、「はい48.75%」「いいえ51.25%」となっている。 イラク市民の声 アンバール県 (29歳・男性) 「今はすごく寒い。それなのに、電気はなかなか来ない。ガスを買うのに20000JD(19$)も払わなきゃいけないんだ。それに今は選挙のせいで、町がざわついているよ。選挙ではヒズブルイスラーミー(スンナ派)に投票するよ。彼らは少しだけども僕たちのことを気遣ってくれているから。」 バスラ (男性 医師) 「今回の選挙に対する期待はあまり高くありません。しかしながらもし投票するとすれば、アッラーウィー(イラクリスト)になるでしょう。もう宗派や派閥は懲り懲りですから。その点でアッラーウィーは派閥色が比較的薄いですから。」 バグダード (56歳・男性) 「私の周りでは、今回の選挙は前回の国民議会選挙よりも良いと感じているようです。まず、その理由はバグダードの治安が良くなったこと、それから選挙の実施が比較的国民の手に委ねられているとかんじるからです。以前はそうではなく治安も悪かったし、誰が誰を殺しているというのもまったく不明でした。しかし今はそうではありません。ですから国民は自分が投票したい政党や候補者を明瞭に選ぶことができているのではないしょうか?ただ私は残念ながらパレスチナ人であるということから、選挙権を持ってはいませんが・・・」 バスラ (36歳 男性) 「今回は選挙には行かないでしょう。誰も値する候補者がいないからです。それは前回の選挙での経験からそうさせられます。前回は多くの候補者が市民のために仕えるなどと言っておきながら、誰一人実行しませんでしたから。おそらくバスラの多くの人が私と同意見ではないでしょうか。」 バグダード 男性 「誰も、信用できないね。強いていえば、ターレク・ハーシミーくらいだ。だからもし投票するとしたら合意戦線に投票するよ」 加藤丈典(アンマン)
by jim-net-news
| 2009-01-24 18:29
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